■ 2012年5月14日 私たち日本人が直面している今そこにある危機 欧州通貨危機の引き金となったギリシャでは総選挙後の連立交渉で混乱が続き、6月再選挙の可能性も出てきた。フランスでは、自由主義的な競争社会への改革を進めてきたサルコジ氏を破り、新大統領に社会党のオランド前第1書記が決まった。ロシアでは、プーチン氏が大統領に返り咲いたが、国内の支持は弱体化しているとも言われる。アメリカでは11月に大統領選挙を控えている。今年は、世界のリーダーが変わる年であり、世界政治の潮目となることは必至だ。
私たち日本では、奇しくも東日本大震災をきっかけに、その対応をめぐる政治の迷走を見るに、戦後日本が抱えた矛盾が国家的没落の危機の形で露呈した。 総じて言うと、今の日本は、次の3つの危機に直面しているように見える。
すなわち、@既得権強化、失業、自殺、社会活力低下という病理を惹起するデフレから脱却できない経済の危機、A損害額数百兆円の大規模地震が迫る国土の危機、B歴史や伝統から国家を自分の知恵で守る古来日本人の基層が崩壊する自律精神の危機だ。
私たち日本人は日本の主権を行使する主体なのだから、日本が直面している危機は、私たち日本人が直面している危機ということになる。
この危機に対峙するため、救国の使命を担う政府は少なくとも基本政策として次の対応を取るべきではなかろうか。
焦眉の急は経済だろう。 国際化と規制緩和による小さな政府を標榜した新自由主義政策を改め、デフレの原因である需給ギャップの解消に集中すべきだ。よって正しい振舞は、供給の増加圧力となるTPPでなく、保護貿易が可能な個別FTAで対応し、需要の減少につながる消費税増税の前に、需要を創出する積極財政政策でGDPを増やすことだ。
使い道は国土の危機への対応でよいだろう。 中央政府が強い権限で全体国土計画を作り、太平洋側の耐震化、日本海側の振興や都市機能分散を図る交通網整備、地方の都市計画整備に毎年十数兆円の公共投資を行うことで、3倍程度の税収弾性値を前提に、必要な増収が確保できる。国債発行しても長期金利が低迷する資金余剰の現状では、クラウディングアウトの懸念は低く、建設国債で賄えばよい。増税はインフレ後でいい。社会保障も、一律現金給付でなく雇用を促進する現物給付を重視すると共に、医療費支出の削減が必要だ。
自律精神の危機は難しい問題だ。 外交と安全保障面で、近未来の中国の軍事費が米国を抜き世界一となりアジア太平洋地域のパワーバランスが変化する可能性を直視し、日米同盟の中で一定の自主防衛が可能な軍事力を整備し、領土問題、資源問題、拉致問題に毅然とした対応が必要だ。核の問題もタブーにして議論さえできなくするのでは、幼稚で甘やかされたお坊ちゃま(Spoiled Children)と呼ばれて仕方あるまい。以上のような極東有事や大震災の非常事態対応、自衛権の行使を制度的に保障するため、自主憲法の制定が急務だ。
何はともあれ、結局のところ、国益への世論の感度が鈍化するレベルまで日本人の精神的没落を招来したのは、戦後の自虐史観教育に一因がある。そろそろ、タブーを廃して、歴史、伝統、文化、国益を啓蒙する教育に着手する時期ではないか。
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