■ 2012年5月15日 沖縄復帰40年の今、私たち日本人がとるべき正しい振舞い 私は今、42歳。 40年前の今日、沖縄は本土に復帰した。
事実だけを整理すれば、復帰の言葉とは裏腹に、日本に主権が戻った1952年には90%が本土にあった米軍基地の沖縄集中比率が、59%(復帰時)、74%(現在)まで上昇した。その間、政府が費やした沖縄振興予算は総額で9兆2144億円、米軍基地を受け入れる代償として投じた予算を含めると10兆円を超し、24年度予算でも他府県が予算を削られる中、沖縄だけは2937億円の予算が計上された。
経済を見ると、県民総所得に占める軍用地料など基地関連収入の割合は復帰時には16%(復帰時)から5%(現在)に減少した。沖縄県の1人あたりの県民所得は2009年を除き、1989年以降最下位を続け、連続首位東京都の415万円の半分以下であること、完全失業率は7.5%で全国最悪である。
そして、復帰の前にも後にも普天間飛行場に代表されるように、沖縄には米軍基地演習の騒音や事故、兵士の犯罪など主権の制約ともいえる危険と隣り合わせの生活を余儀なくされている人々がおり、それは私たちの同胞である。
ところが、戦後の私たち、特に「本土」にいる日本人は、この問題に無関心だった。私たち日本人は沖縄の事実を学び、私たちの問題として共有することから始めなければならない。その共有の前提を築くことができて初めて、その先にある私たち日本人が向き合うべき重要な共通課題が見えてくる。そして、建設的な沖縄の未来を議論できると思う。
沖縄の人も、米軍基地問題を沖縄の苦悩の象徴とする自虐思想から、反日・反米闘争を続けるだけでは、現実は変わらないし、「本土」との意識の乖離が広がってしまう現実を認識するべきだと思う。
奇しくも、沖縄が政争の具になり、日米両政府が普天間問題で忙殺されるのを横目に、中国の脅威が高まっている。南西諸島における示威的行動を続ける中国は、国防予算をこの10年で毎年実質10・9%ずつ拡大し、近未来において米国を抜く可能性が出てきている。私たち日本人は、沖縄にいる人も、そうでない人も、アジア太平洋地域の軍事的なパワーバランスが変化し、それが日本の国土の脅威につながることを共有すべきた。その上で、沖縄の米軍基地や自衛隊部隊の重要性、その配備のあり方、そして、その中で暮らす沖縄の人の生活を豊かにするため、どのような沖縄を作っていくのか、そのために政府は何ができるのか、沖縄に住んでいない人は何ができるのかを議論する必要があると思う。
注目したいのは、沖縄は元気なポテンシャルを持っていることだ。就業者の絶対数が増える傾向があること、1990年から個人所得は1.4倍、小売販売額が1.2倍を超えていること、平均年齢40.5歳は最も若く、15歳未満の人口割合の多さや、女性の平均寿命の長さも日本一であること、人口千人あたりの出生率は、12.2あり、全国で唯一、2けた台に乗っていること、どれも明るいデータだ。
沖縄の人が日本の安全保障に果たす役割と負担は、私たち日本人全員の国益につながっている。そうであれば、沖縄のことをもっと認識し、沖縄の強みを生かした経済発展、そして沖縄の人の誇りをどうやって回復するのかを考えることは、私たち日本人全員の義務といえ、復帰40年を経過した今こそ、沖縄のことを沖縄の人と共有する姿勢が問われている。
金(カネ)だけをばらまく政策では、国論を分断し、事態が混迷し、国益の毀損につながるだけだ。
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